
コラム
「魂の声を聴く」ことは、ロマンじゃない、覚悟
2025.06.03
”じぶんの魂のメッセージを聞きたい”
”魂とつながりたい”という人は増えています。
なぜ、そうしたいのですかとお訊きすると、
「魂とつながると、この生きづらい感覚が、なくなるのではないか」と。
2019年に、初版が書店にならんだ後、私の元には多くのこのようなお声が届きました。
けれど、多くの人がまだ、「邪魔しているのは誰かのせい」
生きづらいのは、自分以外の何かが原因。
時間や仕事、忙しさ、身体の不調、家庭や家族や、自分以外の何かにあると思っているのです。
しかし、いつか誰にでも「魂の声を遮るものは、自分の中にある」ということに、気づく日が訪れます。
当講座でとりあげている
「魂の光 / ヨーガ・スートラ」
「バガヴァッド・ギーター」
この2冊は、このことに静かに気づかせてくれる“鏡”なのです。
そして、本来のヨーガを実践してくだされば、ある力が身につくはずです。
それは、自分の中にある魂の声をさえぎる力を見抜く力です。
この力は、「識別力 / ヴィヴェーカ」といいます。
魂の声と、さえぎる声(欲・恐れ・承認欲求)を聴き分ける力。
自分の言動が、“どこからそれをしているのか”動機を見抜く力。
そしてその力は、静けさを背景にした観察の繰り返しによってしか育ちません。
強いて言うならば、魂の声をさえぎる力が、自分の中に立ち込めた時しか観察はできません。
本来のヨーガレッスンは、さえぎる力が内側から立ち込めたときも、観察をとぎれさせない耐久性を養うためにあります。
あっという間よりも早い一瞬の速さで、魂の声をさえぎる力に、私たちの意識は堕落してしまうからです。
意識がうばわれると、肉体はさえぎる声を主だと思います。
すると、この身体はその声のとおりに、どこまでも動いていきます。
魂の声の前に立ちふさがる、その声とは、
心の中の欲望・承認・恐れ・執着――
それが自分の本音だと錯覚させる微細な、
でも簡単には制御できない力によって心に生じてきます。
魂の声をさえぎり、心を外へ外へと引っ張っていく“欲の波動”。
あるいは、自己の本質を覆い隠す微細で巧妙な“引力”です。
この力を、古代の人は「魔物」と言い表すことさえあります。
なぜなら、この力が自分のなかに立ち込めたとき、このようになりませんか?
「こう見られたい」「優れていたい」「愛されたい」「特別でいたい」などの承認欲求。
「もっと成し遂げなければ」「人より先に」「自分が正しい」などのエゴの防衛本能。
「あの人のように」「このままではダメ」などの比較や恐れからくる行動パターン。
これらは、いずれも魂の静けさとは違う“動機の磁力”です。
そして、これらが内側に響いてくるとき、
私たちはそれを 「自分の声」と錯覚してしまうのです。
この声に、自分を縛られるのはイヤだ、と思うだけでは勝てっこありません。
覚悟。
このスイッチが入らないと、対峙できない力です。
あなた以外の、何か、誰かではなく、
対峙する相手は、自分の中にしかないのです。
それだけわかれば、魂とつながりたい、魂の声を聴きたい、
その願いを叶えるために本当に必要なことは、きっとおわかりになりますよ。