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【魂の詩】母の光

2025.05.26

母から二度目の余命宣告を告げられた日の夜、

それは、本物のヨーガを探してアメリカへ旅立つ前夜だった。

私は、泣いた。

声を出さないように、お風呂のお湯のなかに顔を入れて。泣いた。

そして、目を閉じて、ただ祈った。

生きていて、生きいてくださいね、と。

もしかしたら、帰ってきたらいないかもしれない。

お互い、そう思いながら、ご飯を食べた。

空港へ向かう私を駅まで送ってくれた母は、私にこう言いました。

「立派なヨーガの先生になりなさい」

そう言って、車を走らせた母。

そんな母は、私に別れを告げる代わりに

光とともに、還ってきた。

心がゆるむたびに、

からだに春がやってきて

まなざしに光が宿っていった。

母の中の鬼が、春になった。

母の中に差し込んだ、そのひかりこそ

わたしが求めていた道だった。

ヨーガは、生き方だったのだ。